
久しぶりに動いたあとの痛みと、運動を続けるための確認手順
スポーツを再開したあとに出た痛みが、数日たっても階段や歩くときに響くなら、ただの筋肉痛と決めつけず、整形外科で原因を確かめることをおすすめします。久しぶりに体を動かせたうれしさがある一方で、受診すると長く運動を止められるのではと、ためらうかたもいらっしゃいます。この記事では、痛みの原因をさぐる問診や画像検査の内容と、ふだんの動きから競技の練習へ少しずつ戻るための考え方をお伝えします。
この記事の要点まとめ
- スポーツを再開したあとの痛みが数日続き、階段や歩くときに響くなら、整形外科で原因を確かめることをおすすめします。
- 診察では運動の経歴や痛みの移り変わりを伝え、体の様子に合わせてレントゲンやエコーなどの検査を受けます。
- ふだんの動きから競技の動きへ少しずつ進み、体の様子や生活の予定に合わせて、運動療法や復帰の計画を相談します。
転倒していないのに続く痛み、スポーツ再開後に整形外科を受診するべき?
転倒や打撲といったはっきりしたきっかけがなくても、数日たって階段の上り下りや通勤に響く痛みがある場合は、整形外科で原因を確かめる意義があります。「年齢のせい」「ただの筋肉痛だろう」と自己判断して運動と休止を繰り返すと、関節や腱への負担が積み重なることがあるためです。手術を含めた治療が検討される病態が隠れていないかも含め、早めに状態を見極めることが大切です。
転倒していなくても、繰り返す負荷やフォームから痛みを考える
当院では、スポーツ中の痛みを転倒や打撲による外傷だけと捉えず、繰り返す動作による負荷や、フォームの乱れも含めて原因を評価しています。ブランクを経て運動を再開した際、若い頃と同じ感覚で強く踏み込んだり切り返したりすることが、関節や腱への過度な負担につながるケースは少なくありません。
筋力のバランスや柔軟性が変化している状態で同じ動きを続けると、小さな損傷が重なるスポーツ障害を引き起こすことがあります。今の痛みがなぜ起きているのかという原因を知ることは、これからも長く運動を続けていくための第一歩になります。
受診を急ぐ症状と、必要に応じた総合病院との連携
運動後の痛みで、患部が腫れている・熱を持っている、安静にしていても痛みがよくならない、同じ場所が繰り返し痛むといったときは、早めの受診を考えましょう。痛みの強さを「0(痛みなし)〜10(想像できる最大の痛み)」の10段階で手帳などに記録し、日ごとに数字が下がらず強まっている場合も受診の目安になります。一方、軽い張り程度で日ごとに和らいでいる状態であれば、いったん運動を中断して様子を見る選択もあります。
当院では、診察で手術が必要な場合や、急いで対応したほうがよい症状が見られたときには、近くの総合病院へご紹介します。そのあとの経過をみることやリハビリは、当院で支えていきます。
整形外科では何を聞かれ、エコーなどの画像検査で何を調べる?
整形外科では、いま痛むところだけでなく、これまでの運動の経験や練習のしかた、痛みが出たときの動きを聞かれます。これらを伝えると原因をさぐる手がかりになり、そのうえで医師が痛むところを診て、骨や腱のようすを確かめるのに必要な画像の検査を選びます。健診で言われたことや、いま治療中の病気があるときも、体の回復や治療の進め方にかかわるため、あわせて伝えてください。
問診では運動歴と練習内容、痛みが出た動きを伝える
当院では、患者さん一人ひとりのスポーツ歴、ポジション、練習内容を丁寧にお伺いし、それぞれの競技特有の動きやケガの傾向も踏まえて診療を行っています。また、評価の結果に応じて、身体に無理のないフォームの見直しや運動指導も行っています。
受診の際は、単に「どこが痛いか」だけでなく、どのような背景で負荷がかかったのかを整理して伝えると診察がスムーズです。
- 運動のブランクと、再開したあとの様子:どのくらい運動を休んでいたか、再開してからの練習の時間や回数
- 痛みが出たきっかけの動き:ラケットを振るときの踏み込み、急な方向転換、ジャンプの着地など、具体的な動き
- 痛みの移り変わりと暮らしへの影響:10段階でみた痛みの変化や、階段の上り下り・通勤・車の乗り降りで困ること
- 体全体の健康の様子:健診で言われたことや、いま治療している病気があるかどうか
診察と画像検査で確かめる内容と、検査が選ばれる目安
診察では、医師が患部を見て腫れや熱感を確かめ、押して痛む場所(圧痛)や関節の動く範囲、靱帯の緩みがないかなどを手で触れて確認します。すべての患者さんに同じ検査を一律に行うのではなく、こうした診察の所見に応じて必要な画像検査が選ばれます。
骨折や骨の変形、関節の隙間の状態を調べたいときにはレントゲン検査が用いられます。一方、肩の腱板のような腱はレントゲンには写りません。そのため、診察で腱の傷みが疑われるときは、一般的にはエコー(超音波検査)やMRIなどの検査が追加されます 1。
階段や通勤が楽になったら、スポーツの練習に戻ってよい?

数日休んで日常生活に支障がなくなったとしても、それだけを根拠に元の練習へ戻るのは控える必要があります。普段の生活で歩く・階段を上る動作と、スポーツの場面で素早く動く動作とでは、関節や筋肉にかかる負荷の大きさが異なるためです。痛みの軽さや日常生活での困りごとと、スポーツへ戻れるかどうかは、別々に確かめる必要があります。
日常生活への回復と、競技への復帰は分けて考える
当院では、スポーツによる痛みについて、日常生活に戻れたかどうかと、競技で本来の動きを発揮できるかどうかを分けて考えています。通勤や買い物、家族の送迎が問題なく行える状態は回復の大切な一段階ですが、そこからすぐにバドミントンの強い踏み込みや素早い切り返しを繰り返せるわけではありません。
「プレーはできるけれど本調子ではない」という感覚が残っている場合、体幹の安定性や筋力のバランス、関節の柔軟性がまだ十分に戻っていないことがあります。痛みが引いたことだけで練習量を元に戻すと、同じ部位に再び負荷がかかり、痛みを繰り返す原因になることがあります。
ポイント
「ふだんの暮らしを問題なく送れる状態」と「競技で本来の動きができる状態」は、別の段階です。痛みが落ち着いたあとも、競技ならではの動きにたえられる体の働きを整えてから、練習へ戻ることが大切です。
階段・片脚立ちから踏み込み動作へ進む段階の目安
ふだんの動きから練習へ戻るときは、いきなり前と同じ重さの負担をかけず、体のようすを見ながら少しずつ進めます。どう進むかは医師や理学療法士と話しながら決めますが、次の表がおおまかな目安になります。
| 段階 | 動作の例 | 次に進む前に確かめたい状態 |
|---|---|---|
| 第1段階:日常動作 | 平地の歩行、階段の上り下り、片脚立ち | 体重をかけても痛みやグラつく不安がないか |
| 第2段階:基本の運動 | 軽いジョギング、ゆっくりしたサイドステップ | 動いている最中と翌朝に痛みや腫れが出ないか |
| 第3段階:競技に近い動き | 素早い踏み込み、切り返し、ラケットを振る動作 | フォームが崩れず、本来の動きに近い感覚で行えるか |
| 第4段階:練習への合流 | 短時間の基礎打ちから始め、徐々にゲーム練習へ | 練習の翌日に痛みがぶり返さないか |
練習を再開する際は、いきなり以前と同じ時間・強度で行うのではなく、参加するメニューや時間を絞って始めます。もし途中の段階で痛みが強まったり翌朝に違和感が残ったりした場合は、無理に続けず一段階前のメニューへ戻して調整します。
運動療法はどう進み、仕事や家族の予定と両立できる?
リハビリテーションにおける運動療法は、単にトレーニング機器を使うこと自体が目的ではなく、身体の評価と生活背景、ご本人の目標に合わせて組み立てるものです。仕事や家庭の役割を続けながら無理なく通院できるよう、練習の予定や通えるペースを医療スタッフと共有して計画を立てていきます。
身体の状態と生活背景に合わせて運動療法を組み立てる
当院では、理学療法士による評価を踏まえ、患者さんそれぞれの身体の状態や生活背景に合わせて筋力トレーニングとストレッチを組み合わせています。運動療法では、関節への負担を調整しながら太ももなどの筋力を養うレッグプレスや、体重のかかり方を抑えつつ膝を動かして全身の持久力を保つエアロバイクなどの機器が活用されることもあります。
ただし、リハビリで扱うのはスポーツの動きだけではありません。毎日の通勤での歩行や、家族の買い物・通院の付き添いといった日常の動きでどこに負担がかかっているかも考慮し、自宅で続けられるストレッチや身体の使い方も含めて内容を調整していきます。
趣味のスポーツも、練習予定と本人の目標から復帰計画を相談する
当院では、競技スケジュール、選手としての立場、競技レベル、ご本人の目標を踏まえ、個別の治療・リハビリ計画をご提案しています。プロ選手や部活動の選手だけでなく、地域のサークルなど趣味で運動するかたも対象としています。
受診時には「次の練習がいつあるか」「仲間とどのような形で運動を続けたいか」を遠慮なくお伝えください。一律に長期間の運動中止とするのではなく、今の状態で参加できる動きや段階的な戻り方を一緒に検討いたします。痛みをやわらげることだけをゴールにせず、その先にある「仲間と楽しく動き続けられる生活」を見据えてサポートしていきます。
仕事や送迎と両立する通院頻度と費用の確かめ方
どのくらいの間、どのくらいのペースで通うかは、症状の重さやリハビリの進みぐあいによって人それぞれです。また、かかるお金は検査やリハビリの中身によって変わるため、くわしい見通しは受診のときにたずねてください。なお、競技の力を高めることだけをねらったプログラムや、一部のインソールづくりなど、治療ではないメニューを選ぶときは、健康保険が使えない自費の診療になることがあります。
仕事帰りや家族の送り迎えのあいまに通うときは、月・火・水・金の夕方(18時まで)や土曜の午前に通えるかなど、都合のよい日と時間を最初の受診で伝えておくと計画を立てやすくなります。当院は新越谷駅や南越谷駅から歩いて通える場所にあり、ふだんの暮らしの動きに合わせてご相談いただけます。まずは次の練習の予定と、いまの痛みの様子をメモにまとめ、診察のときに医師へお伝えください。
よくある質問
Q1. 整形外科とスポーツ整形外科の違いは何ですか?
一般的な整形外科は、ふだんの暮らしを送るために痛みをやわらげ、体の働きを取り戻すことをおもな目的とします。これに対しスポーツ整形外科は、「競技ならではの動きへ戻ること」や「再発を防ぎ、運動の力を保つこと」まで見すえて診る点が特徴です。種目ごとの体の使い方や練習の予定も考えて、リハビリを組み立てます。
Q2. 靭帯損傷は保存療法でもスポーツ復帰を目指せますか?
けがをした場所や重さ、戻りたいスポーツの動きによって、治療の進め方は変わります。装具で固定したり筋力トレーニングをしたりする保存療法で、膝などのぐらつきをおさえて復帰をめざすこともあります。一方で、切り返しの多い競技などでは手術を考えることもあるため、医師の診察と見きわめが欠かせません。
Q3. 仕事や練習を休みにくいとき、痛み止めを飲み続けて参加しても大丈夫ですか?
痛み止めで痛みをおさえながら参加を続けるのは控え、薬が切れたときの体の状態で判断してください。鎮痛薬は痛みをやわらげますが、傷ついた腱や関節の組織そのものを治すわけではありません。飲んだ量や日数、練習の予定をメモして、医師や薬剤師に相談してください。
参考文献
1. 腱板断裂 | みんなの医療ガイド | 兵庫医科大学病院. https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/104
東京医科歯科大学附属病院
さいたま赤十字病院
済生会川口総合病院(非常勤)
獨協医科大学埼玉医療センター
東埼玉総合病院
日本リハビリテーション医学会
日本股関節学会
日本人工関節学会
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